その恋、取扱い注意!
「あ……ちょっと付けられているみたいだったから、遠回りをして――」

「バカヤロウ、何のための携帯だよ! すぐに電話をしろよ!」

バ、バカヤロウ……?

「もうっ! そんな余裕なんてなかったんだからっ! もう知らないっ!」

湊にバカヤロウ扱いされて、悲しくなった。
たった今の出来事もじわじわと私を苦しめはじめる。

ついこわごわと後ろを見てしまう。

「ミミ……ごめん。見てくるよ。車で待ってて」

10メートル先に停まっている湊の車が目に入る。


湊はジーンズのポケットから鍵を取り出して、私に渡そうとした。
その手を押し返す。

「いいのっ、もう行こう? そんな気がしたから、遠回りしただけ」

湊は腑に落ちないような風だったけれど、私が歩き始めると隣に並んだ。


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