その恋、取扱い注意!
BMWまで来ると、ロックを解除する機械音がしーんと静まる住宅街に響いて聞こえた。

「どこに行くの? 話があるの?」

湊と一緒にいれば安心感は多大なものだけれど、高野先輩に触られた箇所が気持ち悪くて、早く洗い流したかった。

「少しだけドライブしないか?」

「湊……」

少しためらったのち、助手席のドアを開けて乗り込んだ。

ヘアースプレーでもう懲りてくれるといい……。
高野先輩の目がどうなったか、少し気になったけれど自業自得だ。
あのままだったら私はレイプされていたかもしれないんだから。

「珍しい格好してるな」

車を発進させ、大通りに出ると湊が口を開いた。

「そうかな」

背が低いのがコンプレックスで、ヒールのないスニーカーはほとんど履かないのを湊は知っている。

「そうだよ」

「たまにはスニーカーを履きたい気分の時もあるの」

無理やりこじつけて言うと、湊は肩をすくめた。

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