その恋、取扱い注意!
「降りなくていいよ。車、車庫に入れて」

「車庫? このまま帰るよ。明日も忙しいんだ。早く入れよ」

不可解な湊の行動に首を傾げてしまう。
なんの為に来たの?

口から出かかった時、

「じゃあな」

湊は背を向け、車に戻ってしまった。

車に乗り込むところをぼんやり見ていた私に、運転席に座った湊は身振りで入るよう促す。

私は軽く手を振って、玄関のドアを開けた。

「お帰り~ 美海。ね? あの車、湊でしょ? 最近頻繁に会ってない? やっぱり付き合ってるのね?」

たまたま帰って来る音を聞きつけたのか、お姉ちゃんが玄関に入ったところで待っていて質問してくる。

「付き合ってないから」

「本当に~? 隠さなくてもいいのに。湊なら親公認。結婚しようものなら両家が万々歳よ」

「バカなこと言ってないでよ」

父も母も湊を息子同然に考えているし、湊の両親も私たち姉妹を娘のように接してくれる。
仲の良い両家は、私たちが付き合ったらもろ手を挙げるだろう。

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