その恋、取扱い注意!
階段を上がる私の後ろから、お姉ちゃんがニヤニヤしながら付いて来る。

「湊ってさ、女の子が放っておかないイケメンだから、美海が苦労しそうね」

「だからっ! 付き合ってなんかいないってば」

まるで高校生同士の会話にうんざりして、お姉ちゃんの鼻先でドアを閉めた。

クローゼットから着替えを無造作に取り出し、階下に下りる。

洗面所に入り、次々と脱いで浴室のドアを開けた。

掛け湯をしていつもはバスタブの中へ身体を沈めるのだけど、今日はスポンジを手にして泡立てると胸から洗い始めた。

ピリッと痛みを感じて見ると、胸に一筋血がにじむ傷が作られていた。

爪で……。

乳首を摘ままれた感覚が呼び戻され、吐き気がこみ上げる。

「気持ち悪い。忘れよう。また何かあったら警察に行こう」

乱暴に全身を洗い、触れられた感覚を消そうとした。

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