その恋、取扱い注意!
「あの時……迎えに来てくれたのは、高野先輩のことを知っていたから?」

「ああ。あの日、駅で拾えばよかったよ」

私は湊の腕の中に引き寄せられた。
湊の唇を髪に感じる。

「提案なんだけど」

「提案?」

突然、提案と言われて小首を傾げて湊を見る。

「アイツに自宅を、知られているだろ?」

「うん……」

「しばらくここから職場に通った方が、いいと思うんだ」

「ここから? そんなの無理だよ」

ストーカーの件を両親に話さなくてはならないし、1人暮らしの湊のマンションにしばらくお世話になるなんて言ったら、反対されるに決まってる。

「無理じゃないと思う。俺たちは両親公認の仲だから」

「湊、両親公認って? なに言ってるの?」

「俺の部屋に泊まって朝帰りした時、叱られなかっただろう?」

「うん」

「俺たち、真剣に、結婚前提で付き合っていると言っておいた」

「湊っ!?」

「俺たちが結婚すれば、両親たちが喜ぶって知っているだろ?」

だから、お母さんニヤニヤしてたんだ。
お咎めなしだったから、拍子抜けしたんだよね。


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