その恋、取扱い注意!
「お茶淹れてきまーす」

久我さんの追求の視線から逃げるように、そそくさと給湯室へ向かった。

手早くお茶を淹れ応接室へ運び、トレーを戻しに給湯室へ戻って来た。
給湯室へ近づくその足がギクッと止まった。

「安西さん」

松下さんだった。
ウキウキする影にこの人がいた。
出来ることなら会いたくない人。
湊を好きと自覚した今、本当に申し訳ないけれど松下さんに譲れない。

「お疲れ様です」

トレーを胸の前で抱えながら頭を下げる。
これが私を守る盾であればいい。
そんな気持ちで持つ手に力が入る。

「昨日は」

松下さんは一旦言葉を止める。

「楽しそうだったわね?」

「松下さん、すみません。湊とのことお役にたてません」

「貴方と湊は単なる幼なじみじゃないようね?」

松下さんのキレイな顔が、少し引きつったように見える。

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