その恋、取扱い注意!
「……私も湊が好きなんです。松下さんとお話した時はその自覚が無くて……すみません。仕事中なので」

逃げるようだけれど、私はトレーを元の位置に置くと、そこから離れた。

カウンターに戻った私は、先ほどのふわふわした気持ちが消え去っていた。

あの時、ちゃんと断ればよかった……。

「あら? 何かあった? さっきとはまったく表情が違うわね」

久我さんがイスに座ったまま近づく。

そんなに私の顔って分かりやすいんだ……。

「ちょっとね……」

「もしかしてストーカー?」

「え? ううん。今のところはないから」

首を横に振った時、自動ドアが開いた。

「「いらっしゃいませ」」

子供を連れた家族が入って来て、久我さんは自分の席に戻った。


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