その恋、取扱い注意!
湊の愛車に乗り込み、自宅へ向かった。
高速道路を下りて、自宅に近づいてくると緊張してきた。
エアコンが点いているのに、手にじわっと汗が。

バッグからハンカチを取り出す。

「暑い?」

湊はタッチパネルで調整画面を出す。

「少し……緊張してきちゃった」

タッチパネルをいじる湊の手が私の髪に伸びる。
それからふんわり撫でられた。

「俺に任せておけ」

「……うん」

ひとつしか違わないのに、湊が頼もしく見える。

車は大通りを外れ、あと5分ほどで自宅というところで湊が急停車した。

「湊? どうしたの?」

「鍵かけて待ってろ」

そう言うと、湊はシートベルトを乱暴に外して車から出てしまった。

「湊っ!」

いきなり車から下りて走る湊を、車の中から目で追っていく。
湊の先に、誰かが走っているのが見えた。

< 171 / 437 >

この作品をシェア

pagetop