その恋、取扱い注意!
もしかして高野先輩?

そう考えたらいてもたってもいられず、車から下りていた。
湊が消えた方へ走り出す。
角を曲がったところで、湊を見つけた。
そして湊が胸ぐらを掴んでいるのは、高野先輩だった。

彼の顔を見て、一瞬足が凍りつくように固まる。
次の瞬間、湊は拳を振りかざし高野先輩の顔を殴った。

「湊っ!」

湊に駆け寄ると、高野先輩の荒く吐く息が聞こえた。

「湊!」

「ミミ! 来るなと言っただろう!」

湊から視線を動かすと、おどおどした頬骨が赤い高野先輩を見た。

「警告したのにまだ待ち伏せか」

「み、見るだけのつもりだったんだ!」

高野先輩は目だけを私に向ける。
その視線は哀れに見えた。

湊の手が更に胸ぐらをしめつけると、高野先輩は呻き声をあげた。
かなり強い力を加えているようで、足をバタつかせている。


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