その恋、取扱い注意!
「湊君は大丈夫だったかしら? すごくお酒飲んでいたから。お父さんはまだ当分起きそうもないわ」

「お父さん、張り合ってたもんね」

「それでも嬉しかったのよ。これから忙しくなるわね」

「えっ?」

口に運ぶ箸の手を止めて、母を見る。

「お式よ。美加にいろいろ聞いたらいいわ」

「あ……うん」

まだ何も決まっていないんだよね。
この数日間でパパッとここまで来ちゃって、気持ちが追いついていない感じ。

******

普段より空いている電車に揺られて、会社に到着。
少し早くに着いたせいで、更衣室は誰もいなかった。

早くもじめっとした気候で、汗ばんでしまったブラウスを脱ぎ制服に着替え、スカーフのリボンを結んでいると、誰かが入って来た。

入って来た人の動く気配がしなくて、振り返り見てみると松下さんが少し離れたところに立っていた。

「お、おはようございます」

慌てて頭を下げて挨拶する。

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