その恋、取扱い注意!
オレンジ色の口紅を塗った大きな口の美里ママが笑うと、なんだか食べられちゃいそう。

「いただきます」

そっと紅緒さんを盗み見ながら、グラスに口をつけた。

やっぱり私おかしい。
紅緒さんが気になって仕方がないんだもの。
今の私の頭は、湊より紅緒さん。
私って……女の人に興味があるの?
ううん。そんなことあるはずない。
私が好きなのは、湊なんだから。

極力、紅緒さんを見ないようにして、明菜さんと席を外した美里ママの代わりに、初めて話すキララさんと会話を楽しんだ。

久我さんもほろ酔い加減でそろそろ帰らなければ……そう思った時、紅緒さんを見ないのが我慢できなくなって、先ほどの席に視線を移した。
すると、先ほどの席に紅緒さんはいなかった。先ほどの女社長もいない。

店内をぐるっと見回しても紅緒さんの姿は見当たらない。

帰ったのかな……もしかして、あの女社長と外へ?
なぜか気になる紅緒さんが……。


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