その恋、取扱い注意!
「そうそう、新作のチークと口紅があるから、美加ちゃんの分も持って行ってね」

「ありがとうございます。助かります」

「結婚式が楽しみだわ。可愛い花嫁さんになるわよ。ね? 湊」

「俺に振らないでくれ」

湊がめんどくさそうに言う。

「可愛い花嫁にならないって言うのっ? ひどいよ! 湊っ」

おばさんがいるのにムッとして言っていた。

「そうよ、ひどい彼氏ね。美海ちゃん、考えた方がいいかもしれないわ」

「そうですね。優しくないし」

「母さん、ミミに変な入れ知恵するなよ。俺が優しくないって、どの口が言ってるんだ? 十分優しいだろ?」

私だけがわかる笑みを湊は浮かべて言った。

「美海ちゃんに逃げられないように、早く式の日取りを決めた方がいいわね」

「そこは任せておいて」

コーヒーを飲み干した湊が立ち上がった。

「出かけるぞ」

「え? 出かける? お片づけを――」

「いいのよ。そのままで」

湊は私を待たずに玄関に行ってしまった。

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