その恋、取扱い注意!
「そうか。そうだよな。まだ入社して2年目だしな。いろいろ経験してから結婚した方がいいぞ」

田代部長は持論を披露し、満足げに頷いている。
話を聞きながらレジで支払いを済ませ、次に待っていた田代部長に会釈して本屋さんを出た。

ゆっくり歩いて、また田代部長に捕まらないよう、ビニール袋に包まれた重い本を抱え、会社へ足早に戻った。

******

忙しい一日が終わり、後は帰るだけ。
カウンターの上を片付けていると、内線で話をしていた久我さんが受話器を置いた。

「安西さん、課長が夏休み申請の提出期限、今週いっぱいですって」

「あ! そうだった!」

まだ予定をたてていない。

「私は金欠気味だから香港にしようかと思ってるの。安西さんは?」

「ううん。まだなの。南の島へ行きたいと思っているんだけど……」

「南の島かぁ。いいわね。私に彼氏がいたら南の島にしてるな~。なんてったってロマンティックよね~」

彼氏とかぁ……。

< 248 / 437 >

この作品をシェア

pagetop