その恋、取扱い注意!
店内を見渡し、紅緒さんを探してしまう。きれいな人を見るのは目の保養になるし……。

紅緒さんを探すのはあくまでも恋心じゃないと、理由づける。しかし、紅緒さんの姿は見当たらなかった。

紅緒さんは、今日お休みなのかな。

美里ママはなかなか姿を見せない。

「美里ママのお化粧は、1時間はかかりますよぉ」

バックヤードのドアの方に視線を動かすと、それを見逃さないキララさんが言う。

「そ、そうですよね。お化粧に時間がかかりそう」

たしかに、さっきの姿から女性に変身するには、時間がかかるだろう。

キララさんと話しながら、ウイスキーのソーダ割りをちびちび飲んでいた。

面白おかしい話を聞くこと1時間近く。入口のドアが開いて、スーツを着たサラリーマン風の男性が入ってきた。

ちょうど入口が見えてしまう私の席。男性はお酒を飲んできているのか、顔を赤くして目がすわっている。

「いらっしゃいませぇ~」

明菜さんが、そのお客様を出迎える。



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