その恋、取扱い注意!
何気なく見たのに、すわった目と目があった瞬間、男はパッと笑顔になり、明菜さんの手をふりきった。

そしてふらつく身体を支えるように、ソファの背に手をつきながら、なぜか私の方にやってくる。いや、隣に座るキララさんにだよね?

ふらつく足元。相当飲んできたみたい。

男性は私の横にくると、いきなり私の腕を引っ張って立ち上がらせた。

「きゃっ!」

「「ミミちゃんっ!」」

明菜さんとキララさんの慌てる声。

私もソファから立ち上がらされて、びっくりだ。なにをされるのか、目だけが大きくなり、身体が固まる。

「石田さん、なにをしているんですかぁ」

明菜さんが血相を変えて近づいて来る。

「君な~んて言う名前なの? 明菜ちゃーん、この子が気に入ったよ」

顔をぐっと近づけ、私に名前を尋ねたかと思ったら、いきなり抱きつかれた。

「きゃ――っ!」

酒臭い男に抱きつかれ、腕の中から逃れようとした時――
男性は私から強い力で引きはがされた。

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