その恋、取扱い注意!
「あら~ バレちゃったのね」

いつの間にかバックヤードから出てきた、女性に変身した美里ママが、愉快そうなに大きな口を開けて笑っている。

「敬一、この客任せる」

美里ママの本名らしき名前を呼び捨て。

「おーっけーよ~」

湊は茫然と突っ立っている私の手首を掴むと、店の出入り口に向かった。

「み、湊っ」

狭い階段を、大股でどんどん降りていく紅緒さんの姿をした湊に、付いていくのがせいいっぱい。

聞きたいことがたくさんあるのに、パニックの一歩手前で、声がでない。

地面に降り立った湊は、息を荒くつく私に向き直る。

「大丈夫か? この裏に車、停めてあるから」

紅緒さんの姿で話されると……なんだか変な気分。


少し歩くと、湊の愛車BMWが5台分の小さなパーキングに停まっていた。

「ったく、紅緒の姿で店に来いって言うから、行ってみれば……」

助手席のドアを開けながら、湊がぶつぶつ言っている。

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