その恋、取扱い注意!

それでも好きだよ

「あ、暑いよな」

伏せた顔を起こした湊は、エンジンをかける。

「あ、あの……どうしてなのか、教えてくれるよね?」

おそるおそる声をかけると、湊が私の方を向いた。

外の街灯が紅緒さん……じゃなくて、湊の顔にあたり、きれいな顔が浮かび上がる。その顔にドキンと心臓が高鳴る。

「ああ……こんな男で、がっかりしただろう?」

私、がっかりしたのかな? 戸惑っているけど、湊が紅緒さんだったことを受け止められている気がする。

「はっきり言っておくけど、俺はニューハーフじゃなくて、女装していただけだからな」

「う、うん……」

していただけって……一番女性らしかった気もするんだけど……。

「きっかけは……大学祭の女装コンテストに、無理やり出場させられて優勝したんだよ。敬一はああ見えても2つ上の先輩で、友人だったんだ。大学の時はよく飲みに行ったよ。卒業してからは忙しかったようで、敬一からの連絡が途絶えていたんだ。それが、ある日『美人堂』をオープンさせたんだ。あいつがニューハーフの店?って驚いたよ。もっと驚くことを抜かしやがった」

美里ママが湊より2年先輩っ? もっと年上かと思ってた。

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