その恋、取扱い注意!
湊は江の島に行った時のことを思い出したように、口元を歪めて笑う。ちょっと自嘲的な笑み。

今ははっきりわかる。紅緒さんの姿をしても、湊だと。
紅緒さんの姿でこんな笑い方をされたら、湊だってわかったかもしれない。

「一回だけの来店かと思いきや、何度も来るお前にいつバレるか焦っていたよ」

「あ! だから私が慌てて終電に乗ったことや、電車でばったり会ったんだね?」

「それだけじゃない。お前がストーカーされていたことや、処女も敬一の、わざとらしい大きな声で知らされていたんだ」

私は大きく何度も頷いた。

そうだったんだ……私がお店で酔いつぶれちゃって、湊の部屋にいたのも、今思うと納得だ。

「お前にプロポーズをしたことを知った敬一は、もういつ辞めてもいいと言っていたんだ。できるだけお前と会いたいなら、店になんて行ってられないだろ? 自分の中で紅緒は封印していたら、今日いきなり紅緒の格好で来いと言われて、今に至る」

「今日は駅ビルのアロマのお店で、偶然美里ママにあったの」

「そういうことか……俺はこのことを一生黙っているつもりだったのにな」

たしかに、湊が紅緒さんだったなんて知る必要はなかったかも。
きれいな紅緒さんは、この先たまに思い出す存在になっていたはず。

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