その恋、取扱い注意!
その時、サイドブレーキの側に置かれた湊のスマホが光り、着信を知らせた。

「敬一……美里ママから電話だけど」

「悪いけど、ミミが出て」

「う、うん」

私はスマホの通話を押し、ついでにスピーカー機能にして出た。

「美里ママ。湊は今運転中で――」

『いいのよ~ で、説明してもらえたかしらぁ?』

「え、はい……」

『湊にはほんと、無理をさせちゃったわ~ おかげで儲けさせてもらったけれどね。湊は正常なオ・ト・コよ~ うふふ。ミミちゃんも正直にならなくちゃだめよ~』

「しょう……じき……ですか?」

なにを言われているのか、さっぱりわからなかった。

湊と思わず顔を見合わせてしまう。

『そうよ~ ミミちゃん、紅緒ちゃんを意識していたんでしょう?』

「美里ママっ!」

『久我ちゃんが言ってたのよ~ ミミちゃんは紅緒ちゃんを好きだって。ま、教えられる前から私や明菜ちゃんには、わかっていたけれどぉ。同一人物で良かったじゃなぁい』

美里ママの底抜けに明るい声が、車内に響く。

< 265 / 437 >

この作品をシェア

pagetop