その恋、取扱い注意!
『なんですって!? あなたは婚約していたの!?』

私たち日本人にとって、外国人のジェスチャーは大げさに見えてしまうけれど、今の彼女の驚きようと言ったら、周りの人々が一斉に目を向けるくらいだった。

『アン、落ち着けよ』

これ以上目が大きくならないくらいに驚いている彼女に、ブロンドの男性が肩に手を置いて言葉をかける。

『そんなに驚くことか?』

湊は肩をすくめて彼女に言うと、私に向き直った。

「ごめん。車の中で紹介するよ。行こう。店の予約がぎりだ」

湊は私の腰に手を当てて促した。



BMWの助手席に強制的に座らされた私は振り返り、車内から湊がトランクの中に、スーツケースを入れる様子を所在無げに見ていた。

そこへ後部座席のドアが開き、アンが乗り込んだ。
くっきり二重の目とばっちり合ってしまい、思わず軽く会釈してしまう。

『まだハイスクールにも行っていないような顔して。信じられない!』

ぶつぶつと早口の言葉は私まで聞こえなかった。
そこへブロンドの男性がアンの隣に乗り込み、運転席に湊が座った。

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