その恋、取扱い注意!
「ミミ、シートベルト」

「あっ」

いつもは言われなくてもするのに、うっかり忘れていた。
慌ててシートベルトを引っ張り装着しようとすると、湊が手伝ってくれる。

髪に湊の唇を感じた瞬間だった。

「湊……」

戸惑う瞳を向けると、湊は旅の疲れもないような清々しい笑みを私に向けた。

緩やかに車が走り始め、湊は運転をしながら彼らを私に紹介した。
助手席から振り返り、アンに頭を下げる。
それからブロンドの人懐っこい茶色い瞳のジェイソンに頭を下げる。

ジェイソンは大きな手を私の方に差し出して、おずおずと出した手を握る。

『ミナト! 彼女可愛いな。座っていなかったら、ハグしていたところだよ』

運転する湊に言う言葉を理解した私はジェイソンの手を離し、愛想笑い。

『それはダメだ。ここはやたらとハグする国じゃないんでね。俺だけの特権』

『はぁ~ 残念だな。日本にはミミみたいに可愛い子が、たくさんいるのかい?』

『さあね』

会話に疲れたのか、湊は適当に返事を返す。

アンはふたりの会話に加わらずに、窓の外を眺めていた。

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