その恋、取扱い注意!
私はと言うと、後ろのふたりがいるせいで、気持ちが落ち着かない。

それが湊にはわかっているようで、膝の上に置いたバッグの紐をぎゅっと握っていた手の上に手が重ねられた。
顔を湊に向けると、ポンポンと2回優しく撫でるようにされる。

湊……。

ステアリングを握り、まっすぐ前を見ていた湊はふと私に向いて――

「今日は帰さないからな」

そう言った。

メガネの奥の妖しげな瞳と直球の言葉に、私の心臓がドクッと跳ねあがる。

「湊」

「本当はぎゅっと抱きしめたいんだ。来てくれて嬉しいよ。食事を早く切り上げるからな」

「ふたりに聞かれちゃう……」

後ろのふたりはしーんとしている。

「大丈夫。日本語はわからないから」

湊は口元を緩ませ、私の手に重ねていた手をずらし腿に触れた。

運転中なのにっ! なんてことをっ。

頬を膨らませ、湊の手をギアに戻そうとした時、ジェイソンがあからさまな大きなため息をついた。



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