その恋、取扱い注意!
『婚約者さ』

湊が答える前に、チェックインを済ませたジェイソンがいつの間にか来ており、先に答えた。

『そうだったの! だから私が誘っても断ったのね!』

え……?
このきれいな人に湊は誘われた?

少し厚めのグロス輝く唇が目を引く彼女は、オープンな性格なのだろうか。
一見、カチッと髪型と服装をした彼女は誰かを誘うより、誘われてもバッサリ断るタイプに見える。

「ミミ、誤解するなよ? 俺はお前だけだからな」

「う、うん……」

そこへアンと見知らぬ男性がやってきた。
髪を七三に分けた浅黒い東洋人。身長は男性としては高くないほう。
彼もビジネススーツを着ており、ビジネス鞄を持っている。

「これで全員そろったな。ミミ、エリーとアルゴだ。ふたりは数日前に本社からこっちへ研修に来ている」

エリーとアルゴに私を紹介すると、一行はエレベーターに向かった。

全員が地味なビジネススーツ姿だけど、雰囲気はとても華やかで、気後れする。


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