その恋、取扱い注意!
初めて湊の知らなかった一面。
世界各地に点在する外資系金融会社だけあって、国際色豊か。
私の勤める会社が、ちっぽけで狭く思えてしまう。

25階のイタリアンレストランの見晴らしの良い席に、6人は案内された。

国際色豊かなこのテーブルは始終、英語で会話がされた。かんたんな英会話ぐらいしか出来ない私にとって、頭をフル回転させなければ会話に追いつけない。隣に座る湊が時折難しい言葉になると教えてくれたけれど、だいたいは金融業界の専門用語が飛び交っていて、日本語でも難しいのに英語となればお手上げだった。

彼らと会話することをあきらめ、目の前に次から次へと出される料理をお腹に入れることにした。

仔牛肉のパイ包みを口に運んでいると、視線を感じて顔を上げた。

目の前に座ったジェイソンがにこにこと私を見ており、お肉が喉に詰まりそうになった。

もしかして、がつがつ食べているところを見て笑っている?

咳払いをして、氷水の入ったグラスを口に持っていく。


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