その恋、取扱い注意!
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マンションの部屋に入ると、むあっと生暖かい空気が充満していた。

1週間も留守にしていれば、空気は悪いに違いない。でも、部屋の嫌な臭いはしない。湊のいつもつけているフレグランスがかすかに匂う。

「うゎ、暑いな」

湊は窓に向かうと、大きく開け始めた。

「私が開けておくから、湊はシャ……」

「ん? ミミちゃん、言いかけてなんでやめるのかな?」

不敵な笑みを浮かべて、顔を近づけてくる。

「あ、もしかして一緒に入りたいとか?」

さっきまで甘い雰囲気だったのに、今度はからかってくる。

「そんなんじゃないよ!」

大きく首を振って強く言うと、湊はさらに唇と唇が、もう少しで重なりそうなところまで近づけてくる。

「本当に? 俺は期待していたのに」

「だめっ! 恥ずかしすぎるから!」

私が必死の顔をしていたのだろう。顔を離した湊は、吹き出して笑う。

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