その恋、取扱い注意!
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ブーブーブー

ん……何の音……? 目覚まし……?

それがバイブにしてあるスマホが振動している音だということを、すぐにわからなかった。

隣で眠っていた湊が動く気配。
目を開けると、身体を起こした湊がちょうどスマホを耳に当てようとしたところ。

『はい。本田です』

いつもの口調ではなく、丁寧に名前を言う。

『ああ。はい。わかりました。14時に伺います』

そう言って、湊はスマホを持ったまま、枕に頭をつけた。

「クライアント? それとも会社から?」

重いため息をついているのが気になって聞いた。

「あ? 会社から。悪い。出社することになった」

湊は私の方に横向きになる。

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