その恋、取扱い注意!
「証拠はあるんだぞ? ミスを素直に認めたらどうなんだ?」

いつもは優しい課長の声が、きつくその場に響いた。
大きな声を出した課長は、いらだちを隠そうともせずに自分の席へ戻っていった。

どうしてこんなことに……?

席が取れた時、課長が嬉しそうに話してくれた時のことを思い出す。

本当に身に覚えのないこと。でも、私の印鑑が押されていて……。

今にも涙が出そうで、下唇をぎゅっと噛む。

「安西さん……本当にキャンセルしてないの?」

ぼんやり突っ立っている私のところへ、久我さんがやってきた。

「本当にそうなの……」

「……ってことは、誰かが安西さんを陥れたんだわ」

周りに聞かれないように小声で耳打ちされる。

「えっ?」

考えもしなかった事を、久我さんに言われて驚く。

「だって、おかしいわよ。私は安西さんを信じるわ」

「……ありがとう」

陥れるくらいに、私を嫌っている人と一緒に働いているんだ……。


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