その恋、取扱い注意!
「会社で――」

会社での出来事を話した。



「誰なんだろう……私、そんなに嫌われていたのかな……」

最後にぼそっと、愚痴が出てしまった。

湊は真剣な表情で話を聞いていたけれど、最後の私の言葉に目を細め、厳しい視線を投げかけた。

「ミミ、それを考えるのは後だろう?」

「えっ?」

「社内のゴタゴタで迷惑しているのは、客なんだぞ」

「それはわかっているけど……」

「まずはその客の席を何が何でも取るべきだ。仕事にしろ、遊びにしろ、座席が取れて安心、もしくは楽しみにしていたはずだしな。経由便もお盆の時期じゃきついかもしれないけど、いろいろあたれよ。お前は陥れられたかもしれないが、それは客には関係ないことだからな」

湊の言うことは、もっともだと思う。
だけど、私にはそんな風に割り切れない……。
私の脳裏に松下さんの顔がちらつく。キャンセルを入れたのは昨日……松下さんは休み。彼女を疑ってしまうけれど、そんなことできるはずがない。


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