その恋、取扱い注意!
「ミミ、鐘鳴らそうか?」

「まあ、なんでもやっておきたいし。やってみたい」

湊と並んで一緒に鐘を鳴らした。

鳴らし終えて湊を見ると、何やら意味ありげにメガネの向こうの目が笑っていた。

「なんで笑ってるの?」

「この鐘ってさ、一緒に鳴らすと別れないって言い伝えがあるんだよね」

「えっ?」

恋人同士じゃないのに。関係ない、関係ないっ。

「もう俺たち、離れられないかもな」

「湊っ! なに言ってるの? 彼女とここへ来たんでしょ? で、どうだったの?」

「鳴らさなかったから別れたのかな」

さらっという湊。

「なんで鳴らさなかったの?」

「その話、知ってたから。いくらなんでも付き合って数回デートした相手と出来なよ」

え……? じゃあ、どうして私と?

「湊でもそんな言い伝え信じてるんだ?」

聞きたいのはそんなんじゃなくて……。

「たいして信じていないけど、ミミだから一緒に鳴らしたんだ」

「湊?」

湊の言いたいことがわからない。
私だから鳴らしたって……恋人同士でもないのに……。

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