その恋、取扱い注意!
湊……。

「あら、もう帰るの? 今お茶を――」

階下でお母さんの声が聞こえる。

湊の返事が聞こえる前に、ドアを閉めベッドの端に座る。

湊を怒らせてしまった……昔はよくケンカしたけど、一方的に出て行かせる……なんてことはなかった。

湊の言っていることは、もっともだと思うけど……。

全力で席を取らなきゃいけない。課長でも取れないのに、私に何が出来る?

そこで、湊は話があって来たのだと思い出す。

「なんの話だったんだろう……」

大事な用事だからこそ、自宅まで来たんだよね?





「美海ちゃん、湊はもう帰っちゃったのよ」

湊の話が気になって、それから自分の態度も謝りたくて、隣の本田家へ。

湊のお母さんに言われるまでもなく、車庫にも路上にも湊の車がなかったから、すでに帰ってしまったのだろうと思っていた。

「そうですか……」

「ケンカでもしたの?」

「え? そ、そんなんじゃないんですけど……」

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