その恋、取扱い注意!
シンクの中に汚れた食器がかなりある。

こういうところは几帳面で、いつもきれいなのに……やっぱり体調が良くないんだね。

食洗機の中に、汚れた食器を入れながら思う。

お蕎麦をゆでている間に、ねぎ、みょうが、しそを刻んでいく。つゆは手抜きして麺つゆを使い、冷たい水を注ぐ。

湊、大丈夫かな。最近忙しそうだったから、疲れたんだね。


リビングの窓が開けられた窓辺で、壁に肩をもたせかけるようにして湊は外を見ていた。
ちょうど花火大会の打ち上げ花火が見えるリビング。

ここは特等席だけど、浴衣をふたりで着て、外で見てみたいな。湊の浴衣姿、絶対に似合うと思う。

ローテーブルにトレーを置いてから、私に気づかない湊のところへ行く。
ポンと腕を叩くと、湊は肩をビクッと揺らし驚いた。

「びっくりした? 気づかないなんて、何か考え事でもしてた?」

「ああ……」

「食事できたよ」

ローテーブルに戻ろうとした私の腕が掴まれ、引き止められる。


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