その恋、取扱い注意!
「湊、どうしたの?」

「ミミ、話がある」

真剣なまなざし、形のいい眉がかすかに眉間に寄り、辛そうな顔。

「湊……? どうしたの?」

いつものように冗談を言う湊ではない。

どうしたのだろうか……私の心臓がトクンと鳴って、身体に緊張が走る。

何の話なのか見当もつかなくて、怖い。
湊は私をじっと見つめたまま、なかなか口を開かない。

パンパーンと打ち上げ花火の音だけが、やけに大きく聞こえる。

「湊……?」

「……結婚は……しばらく延期しよう」

「え? な、なにを言ってるの? 意味がわからないよ」

予期せぬ言葉に、心臓が痛いくらい暴れ始める。

どうなってるの? 湊はどういうつもりで? 

「わ、別れたいの……?」

「そうじゃない! 違う。ロンドン支社に転勤になったんだ。期間は2年」

「ロンドン……転勤? 転勤だと、結婚は延期になっちゃうの? どうして? 早く結婚しようなって言ってくれてたじゃん」

「いろいろ考えて、俺が日本に戻ってきてからが、いいんじゃないかと思ったんだ」

「そんなっ! 勝手に決めないでよ!」

転勤するから結婚出来ないだなんて、おかしいよ。

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