その恋、取扱い注意!
自分を必要だと思ってくれていない人のもとへ、行けない。
愛しているなんて口先だけだよ。本当に私を愛してくれているのか……今は自信がない……。

通い慣れた駅に到着し、電車を降りるとバッグの中のスマホが振動していることに気づいた。

湊だった。

出ようか迷った。混乱している頭を整理してから話したい。

呼び出しの振動が止まない画面を、固まったように見つめていた。
それから重苦しいため息をつくと、画面をタッチした。

『ミミ、家に着いたか?』

「……まだ。電車降りたところ」

『これから行って話したい』

「今はいや! 疲れたの。湊だって体調悪いんでしょ? ゆっくり考えさせて」

『ミミ!――』

まだ何か言いかけた湊の言葉だったけれど、通話を切り電源を落とした。

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