その恋、取扱い注意!
「人のためをまず考えてしまう性格なのよね……損な男だわ」

あの時、私は企画営業部へ行けることを話した。
楽しみだって。
だからなの? でも、そんなことで勝手に決心しないでもらいたい。私はなによりも、誰よりも、湊を優先したいのに。

「美里ママ、ありがとうございます! 私、湊に会ってきます!」

自分の気持ちを打ち明けて、湊の気持ちも包み隠さず聞こう。

「きっとうまくいくわ。だって、湊はミミちゃんが大好きなんですもの」


私は美里ママに送り出されて、湊のマンションへ向かった。

途中で電話をかけたけれど、呼び出し音がなるばかり。

湊……マンションにまだ戻っていないのかな……。

2回目に電話をかけたのは、湊のマンションの最寄りの駅のホームで、ようやくつながった。

『ミミ、どこにいるんだよ』

「え……、湊のマンションの近く。湊は今どこにいるの?」

電話の向こうで呆れたような乾いた笑い声が聞こえた。


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