その恋、取扱い注意!
湊の後姿を追いかけながら、昔のことを思いだした。
私が高1で湊が高2の時だった。同じ高校の3年生だった高野先輩を好きになった私は湊に逐一相談していた。高野先輩は北海道の獣医大学に進学が決まっていて、2か月後には北海道へ行く。それでも好きだった私は湊を介して高野先輩と付き合い始めた。
あの頃は遠距離恋愛になってもいいから高野先輩と付き合いたかった。数回のデートの後、高野先輩は北海道へ行った。
毎日メールや電話で話をしていたけれど、しだいにそれは少なくなって……夏前にはメールを送っても返事が来なくなった。そして、ある日「もう別れよう」のメール。
好きだった人にそう言われて、落ち込まないわけがない。落ち込む私の側にいてくれたのは湊だった。外に連れ出してくれて元気づけてくれようとした。「あんな奴のことなんか忘れろよ」って。
昔のこと、思い出しちゃった……。
「湊っ、待ってよ」
どんどん先を行ってしまう湊を呼ぶ。
湊はハッとしたように立ち止まり振り返ると、私のところに戻って来た。
「ミミが短い脚だってこと、忘れてた。ほら」
手を差し出され、無意識にその手を握る。
昔からそうだった。疲れると湊は手を差し伸べてくれる。
湊は私の歩調に合わせて歩き始めた。
ちょっと引っ張り気味だけど。
「あー、疲れたー」
参道へ戻ってくると、ホッとする。
それほど大変な距離でもなかったけれど、デスクワークで身体がなまっているのかも。
「お! たこせん。ミミ、食べる?」
「食べたい!」
湊は飼い主が飼い猫にエサを与えるように、私に江の島名物「たこせん」や「おまんじゅう」を買ってくれた。
私が高1で湊が高2の時だった。同じ高校の3年生だった高野先輩を好きになった私は湊に逐一相談していた。高野先輩は北海道の獣医大学に進学が決まっていて、2か月後には北海道へ行く。それでも好きだった私は湊を介して高野先輩と付き合い始めた。
あの頃は遠距離恋愛になってもいいから高野先輩と付き合いたかった。数回のデートの後、高野先輩は北海道へ行った。
毎日メールや電話で話をしていたけれど、しだいにそれは少なくなって……夏前にはメールを送っても返事が来なくなった。そして、ある日「もう別れよう」のメール。
好きだった人にそう言われて、落ち込まないわけがない。落ち込む私の側にいてくれたのは湊だった。外に連れ出してくれて元気づけてくれようとした。「あんな奴のことなんか忘れろよ」って。
昔のこと、思い出しちゃった……。
「湊っ、待ってよ」
どんどん先を行ってしまう湊を呼ぶ。
湊はハッとしたように立ち止まり振り返ると、私のところに戻って来た。
「ミミが短い脚だってこと、忘れてた。ほら」
手を差し出され、無意識にその手を握る。
昔からそうだった。疲れると湊は手を差し伸べてくれる。
湊は私の歩調に合わせて歩き始めた。
ちょっと引っ張り気味だけど。
「あー、疲れたー」
参道へ戻ってくると、ホッとする。
それほど大変な距離でもなかったけれど、デスクワークで身体がなまっているのかも。
「お! たこせん。ミミ、食べる?」
「食べたい!」
湊は飼い主が飼い猫にエサを与えるように、私に江の島名物「たこせん」や「おまんじゅう」を買ってくれた。