その恋、取扱い注意!
数日後、私たちは両親に時間を作ってもらい、ロンドン転勤の話をした。

「……そうか。ロンドンへ……」

父はポツリ言うと、お茶をすすった。

「外資系の会社に勤めているのだから、遅かれ早かれそういうことはあると思っていたよ。もちろん、美海は一緒に行くべきだ」

「お父さん……」

さすが会社員を長年務めてきただけのことはあるな。と思った。

「湊くん、美海をよろしく頼むよ」

「はい。不自由はさせません」

きっぱりと宣言する湊がいつになく男らしく頼もしく見える。

「渡英は来月末か。式だけでも早急に挙げないといけないな」

「お父さん、結婚式は挙げないで籍だけ入れようと思うの」

これは私だけが考えていたことだから、お父さんより湊が驚いた。

「ミミ?」

「日本に帰ってきた時に挙げたいの。湊はいい?」

「結婚式は男より女の楽しみの方が多いだろ? ウエディングドレス着なくていいのか?」

「うん。帰ってきたら着られるでしょう? まだ着ても十分おかしくない年だし」




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