その恋、取扱い注意!
「関係のないお客様に迷惑がかかったんですよ?」

「ええ……あの件は本当に申し訳なかったわ。私がやらせたことだと、すぐに田代部長に知られたわ。本社に移動になったのも、この件があったからなの。予約の重みを一から勉強するようにと田代部長に言われて」

田代部長はわかってくれていたんだ……。

「もう済んだことなので……でも、話してくださってありがとうございました」

あの件で私は少しだけ成長できた気がするから。

そこへクラブハウスサンドとアイスコーヒーが運ばれてきた。
お皿にドンとそれだけ置かれたサンドイッチで、パセリなどの飾りなど何もないけれど、美味しそうだ。

「ここはあの時、田代部長に教えてもらったの。席を取るのがいかに重要かを延々と説教されて……おかげで、今の部署に愛着を持てるようになったわ。食べながら聞いて」

そう言われて、目の前の美味しそうなサンドイッチに手を伸ばした。
新鮮なレタスにトマト、香ばしく焼いたチキン、ソースも絶品だった。
噛むほどにじわっと美味しさが味わえる。

「……美味しいです」

「でしょう? もっと前から知っていればよかったわ」

「そうですね」



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