その恋、取扱い注意!
「もうっ! そんな余裕なんてなかったんだからっ! もう知らないっ!」

そう言いながらも、ミミはこわごわと後ろを見ている。

「ミミ……ごめん。見てくるよ。車で待ってて」

10メートル先に停まっている車を教え、ジーンズから鍵を渡そうとした手が押し返される。

「いいのっ、もう行こう? そんな気がしたから、遠回りしただけ」

俺に頼らないミミに半ばがっかりだった。

俺って、頼りないか?

探偵に頼んだ高野の報告書は上がってきている。
明日、絶対に決着をつけてやる。

そう心に決めて、ミミを車に乗せた。

「どこに行くの? 話があるの?」

「少しだけドライブしないか?」

「湊……」

「珍しい格好してるな」

車を発進させ、大通りに出ると口を開いた。

「そうかな」

「そうだよ」

背が低いミミはヒールのあるものを好んで履くのを知っている。

「たまにはスニーカーを履きたい気分の時もあるの」

やっぱりなんかあったんだな。

「どこへ行きたい?」

話があると言ったのに、これと言ってなく、俺は聞いた。

「まかせる……」

心あらずって、こういうことを言うんだな。

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