その恋、取扱い注意!
もちろん自分は既婚者だと十分自覚しているつもりだけど……。今日は人生初の結婚式に出席。テレビでしか見たことがないブーケトスに、参加してみたかったのだ。

「どこへ行くのっ? もう披露宴会場へいかな――」

見事な庭園が広がる朝倉ホテルのチャペルの裏で湊は立ち止まった。湊の背中に危うくぶつかりそうになるところを踏みとどまる。
ブラックフォーマルの背中にファンデーションがついてしまうところだった。

「言っただろう? ミミが結婚していることを思い出させるって」

「そ、そんなのとっくにわかってるよ。さっきのは冗――んっ……」

あごをすくわれ、唇が重なった。いつもよりちょっと乱暴なキス。

あれくらいで怒るなんて、ちょっとうれしかったりして。

熱い舌が唇を割って侵入してくる。
口腔を彷徨わせていた舌は、私の舌へと絡ませてきた。

いつものことだけど、湊にキスをされるだけで全身が溶けてしまったように力が入らなくなる。
腰を支える手にも反応して、身体が疼く。この場所が外だと言うことも忘れてしまいそうになった。

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