その恋、取扱い注意!
「みな……っん……ン」

ここがどこなのかも忘れて、理性を失いかけた時、ちゅっと音をたててから唇が離れた。

「思い出した?」

私の濡れた唇を、湊は指の腹で拭いながら聞いてくる。

「……思い出した」

全身の脱力感で頭が回らなく、湊の言葉を繰り返す。

「よろしい」

湊は腰をかがめ、なにかを拾って、手でパンパンとはたく音がする。
それが私のミントグリーンのバッグだと数秒遅れてから気づく。

「お、お化粧直さなきゃ……」

身体の疼きが止まらないまま、歩きだした。

あれくらいのキス、いつもされているのに……なんか今日の私、へん……。

隣を歩く湊を意識してしまう。

籍を入れて1ヶ月経つのに……。
そうだ! 今日の湊は無駄にカッコよすぎるからいけないのよ。出席者の誰よりもイケメンだし、ブラックフォーマルは長身の体躯に良く似合って、いつもの雰囲気がなくなって大人の男性そのものだ。いや、湊が中性的と言うわけじゃないんだけれど……。

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