その恋、取扱い注意!
******

化粧室でパウダーと、リップグロスを塗り直して出ると、お母さんたちにばったり出くわす。お母さんたちというのは、私の母と湊のお母さん。つまり私の義理の母。家がお隣りだし、親戚なのでご夫婦で出席してくれている。

「あら、ここにいたの。あと5分ほどで披露宴始まるわよ」

黒留袖を着たお母さん。この日のためにダイエットをしていたようだけれど、私がいなくなってから、なんとなく食べてしまいダイエットは成功しなかったようだ。それに比べて義母はスタイルがいい。ラメを散りばめたミッドナイトブルーのフォーマルスーツが良く似合っている。

「ちょっとお化粧を直していたの」

「主役の美加ちゃんもきれいだけれど、今日のミミちゃんも負けずにきれいよ」

義母がにっこり微笑んで褒めてくれる。

「ふたりの結婚式も楽しみね」

「まだ2年もあるなんてねぇ。早く2年経ってほしいわね」

お姉ちゃんの披露宴がもうすぐだと言うのに、お母さんたちは2年後の結婚式の話が止まらなくなりそうだった。


< 395 / 437 >

この作品をシェア

pagetop