その恋、取扱い注意!
「なあに?」

小さくため息を吐きながら振り返ると、余裕ありげな笑みを浮かべた湊の顔がすぐ近くにあった。
スクエア型のメタルフレームのメガネの奥の楽しそうな瞳。

「まだ彼氏できないの? ミミちゃん」

「そ、そんなの湊に関係ないでしょっ!」

「あれ? 中学の時から、恋愛相談してやっていたのって誰だっけ?」

「もう! なに中学の話なんてしてるの?」

なんて古い話。突然なにを言いだすのかと思ったら……。

今度は湊にわかるように、大きなため息を吐く。

「ミミは男心がわからないみたいだから、また相談に乗ってやるよ」

「いいっ! もう時間ないんじゃない? 行ってよ」

湊は額に落ちてきた髪をかき上げる。
長い指でかき上げる様は妙に色っぽい。

「残念ながら、夜便だからまだ時間があるんだよね。お茶でもしようよ。ミミちゃん」

そうか、だから暇つぶしに私でからかっているんだ。
中学の時は真剣に相談に乗ってくれたのにな。

「……」

「ミミが黙っている時は、いいってことだもんな」

湊は私の腕を掴むと、路駐してあったシルバーのBMWの助手席に私を乗せた。

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