その恋、取扱い注意!
「湊、ここじゃ……帰ってからにしよう?」

「わかった」

歩き出したけれど、湊の嫉妬が嬉しくてにやけてしまう。わからないように俯いて歩いていると、タクシー乗り場で湊は足をゆるめた。

「タクシーで帰るの? 実家まで帰ると高くつくよ? 電車に――」

「今日は実家に帰らない。マンションへ行く」

「マンションに?」

待っていたタクシーの後部座席のドアが開き、湊は私を先に乗せると運転手にマンションの住所を言った。

「義母さんたち、泊まりに行くの楽しみにしているんじゃないかな」

一昨日帰国して私の実家に2泊。そして今日と明日は湊の実家に泊まる予定だった。

「いい。マンションについたら電話すればいい」

「そんな……」

どうしてマンションなんだろう。楽しみにして待ってくれている義父母に申し訳ない。

「……そんな顔するなよ。すごい酷いことしているみたいな気持になる」

「だって……」

「とにかくマンションへ行くから」

「マンションに気にかかることでもあるの?」

今日、空気の入れ替えに行ったから窓の閉め忘れとか……?

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