その恋、取扱い注意!
「気にかかること? ないよ」

湊はふっと口元を緩ませた。

タクシーは首都高速道路に入り、スピードを上げた。ほどなくしてタクシーはマンションに到着した。

「少し歩こう」

マンションの裏手に遊歩道のある公園がある。
湊はマンションへ入らず、公園の方へ歩き始めた。

マンションへ入るのかと思ったら、今度は公園……変な湊……。

まだ虫の音が聞こえる公園。
9月下旬、昼間は真夏のように暑いけれど、夜は涼しい。

半袖の私はぶるっと震えると、湊はジャケットを脱いで肩に掛けてくれる。それからおもむろに湊は私の左手を握り、薬指の指輪に触れた。

「ミミ……こっちに帰ってきたい?」

「えっ? なに言ってるの?」

「美加さんの結婚式、ぼんやりしていたよな。こっちに戻って来てから考え事をよくしているみたいだ。悩みがある? 寂しくなったんじゃないか?」

「私が考え事? 悩みなんてないよ? 湊がいるからぜんぜん寂しくないし。ロンドンの生活は楽しいよ。それに……結婚式でぼんやりしていたのは……」

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