その恋、取扱い注意!
「有名な観光地だな」

「うん。いい?」

「もちろん。ミミに任せるよ」

「えっ!? 任せるって、電車とかホテルでしょう? ホテルは大丈夫だと思うけど、電車はまだ……」

正直に言うと、湊はキレイな顔で笑う。

「OK。俺が調べておくよ」

『サンキュウ。ミナト』

外国人風に返事を返すと、湊が更に顔を緩ませた。

楽しみだな~。出かけられるようになったってことは、湊の仕事も慣れたってことだよね。

「今日は早く帰ってこられそうだから、外に食べに行こうか」

「ヘンリーのパブがいいな。あそこのフィッシュ&チップスは最高だから」

ヘンリーのパブと言うのも、アパートからさほど離れていない大通りの店。頻繁に行くから顔を覚えてもらえて、常連さん気分。そこにいる人たちと賑やかな夜を過ごすのも楽しい。

「あのな? フィッシュ&チップスは最高だけど、あそこは俺の気が休まらないんだけど?」

「えっ? どうして?」

訳が分からなくて、小首を傾げて聞くと、湊はこれみよがしに大きなため息をつく。


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