その恋、取扱い注意!
『サ、サンキュウ』

力強い手に立ち上がらせてもらったけれど、腰と左手首が痛みに悲鳴を上げた。

「っ……」

「本当にごめんなさい。お怪我は?」

髪が長くモデルみたいな日本人の女の子が腕をさすりながら聞いてくる。表情は眉を下げて、とっても申し訳なさそうだ。

「だ、大丈夫です」

そう言ったものの、私を起こしてくれた男性からバッグを受け取った瞬間、左手首にズキッと痛みが走り、バッグを落としてしまう。

「大丈夫じゃないみたいですよ……ね?」

自転車の彼女は、落ちたバッグを拾う。

『アリサ、この人を病院へ連れて行った方がいいんじゃないか?』

助言したのは、彼女の隣に立つ男の子だった。

『あ、そうだよね。イーサン、病院まで案内してくれる?』

『いいよ』

アリサと呼ばれた彼女は、知り合いらしい彼に頼んだ。

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