その恋、取扱い注意!
「ごめんなさい。病院へ行きましょう」

病院へ行かなくても良い……と、言いたいところだけれど、左手首の痛みはどんどん増している。

折れていないと良いけど……。

今まで骨折なんてしたことがないから、この痛みがどれくらいの症状なのかまったくわからない。

******

『軽度の捻挫ですね。軽度といっても甘く見てはいけません。動かさないようにし、安静にしてください』

レントゲンを撮った後、メガネをかけた年配の医師の診察。

処置された手首はぐるぐると包帯を巻かれていた。

そして彼女のボーイフレンドみたいな彼は一度家に戻り、車に乗り病院へ戻って来ていた。
赤毛でほんの少しそばかすがある彼は映画に出てくるイギリスの男の子みたいだ。

『時間大丈夫ですか? 遅くなってしまいました』

病院を一歩出ると、外は暗くなっていた。

あ!

すっかり時間を忘れていた私は右手でバッグの中を探り、スマホを取り出す。

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