その恋、取扱い注意!
「はい。ミミちゃん、しっかりお食べなさいな」

美里ママは目尻を下げながらフォークを渡してくれる。
これで頭でも撫でられたら、本当に猫みたいなんですけど。

「美里ネエサン、久我ちゃんとミミちゃん、旅行会社ですって。今度旅行企画しましょうよぉ~」

「あら~ そうだったの。旅行会社って、おもしろそうな職種よねぇ」

私も最初は旅行が好きだし、おもしろそうって思ったんだけど……。

そう言おうとした時、久我さんが口を開いた。

「そうでもないんですよ。みんなが楽しんでいる最中に仕事をしなくちゃならないとかで、入社して1年目で辞めようかなって思ったり」

そうだったんだ。
たしかに、みんなが楽しんでいる時に仕事だけど、まとめてお休み取れるし……お給料は安いけど、お客様の楽しそうな顔を見るのは好きだし、悪くない職業だと思う。

「なんでもお仕事は大変よねぇ~ ミミちゃんは辞めたくならないのぉ?」

「今のところは……」

「それは良いことだわ~」

それから、お店のナンバー2だというレイ子さんも話に参加して楽しい時間があっという間に過ぎた。

そして、また私たちは終電に乗り遅れないように駅に向かって走る始末だった。


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