その恋、取扱い注意!
湊は歩き出していて、すぐ近くのコインパーキングに停めてある車に近づいた。

もう! わざと無視しているに違いない。

「ミミ、なにしてるんだよ。早く来いよ」

湊が振り返りむすっとした顔で呼ぶ。
イケメンの顔がそんな顔になると、服従しなくてはいけない感じになってしまう。

ごはんおごってもらって、家まで送ってくれるのは嬉しいけれど、最近の湊は扱いづらいから戸惑う。

「なに食べたい?」

助手席に乗り込むと、エンジンをかけた湊が聞いてくる。

「んー どうしようかな。湊は?」

「俺はなんでもいい」

車が動き出すと、大きな雨粒がフロントガラスに強く当たり出す。

「雨も降ってるし、車だし、家の近くのファミレスでいいよ」

ファミレスなら和洋中、なんでもあるもんね。

「そうだな。じゃ、ファミレスな」

「ね、湊。実家に何か用があるの?」

「特にない」

特にないけど、顔を見に行くんだね。
おそらく、私と湊がこの間ドライブに行ったのが、母からおばさんにばれて、来たんなら顔を見せなさいと、小言を言われたのかも。
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