その恋、取扱い注意!
まっすぐ家に向かうと思ったのに、家とは別の方向に車を走らせていることに気づいた。

「湊? 家に帰るんじゃないの?」

「……」

湊は黙って運転している。

数分後、河川敷の広い場所に湊は車を停めた。
辺りは真っ暗で、川向こうの駅周辺にあるビルの明かりが見えるだけ。

「どうしてここに来たの?」

「ん? ふたりきりになりたかったのかもな」

シートベルトを外して、湊は私の方を身体ごと向く。

「湊っ! 冗談はいいから」

このシチュエーションに胸が暴れ始めている。

「……ピアスのことだよ」

「ピアスは返すからね」

「そんなに気に入らない?」

「気に入るもなにも、お土産にしては度が過ぎてるでしょ。彼女が出来たらあげればいいのよ」

「……わかった。返せばいい」

不機嫌に言った湊は正面に向き直ると、シートベルトをしてステアリングを握った。

走り出しても口を引き締めたまま話さない湊に不安になる。

< 47 / 437 >

この作品をシェア

pagetop